
2016年選抜高校野球の優勝候補に一躍名乗り出た、香川県代表の高松商業高校。10月に開催された四国大会で優勝し、さらに、11月に開催された明治神宮大会では北海道代表の札幌第一、近畿代表の大阪桐蔭、北陸代表の敦賀気比を破り見事優勝しました。
高松商業と言えば、知る人ぞ知る古豪ですが、1996年以来甲子園からは遠ざかっており、今回の大躍進には驚きを隠せません。
それではまず、新チームになってからの成績を見ていきたいと思います。ちなみに2015年の夏の予選は準決勝で敗退しています。
2015年秋季香川県大会
2回戦 対 多度津高 8-0
3回戦 対 香川中央 10-0
準々決勝 対 高松北 5-2
準決勝 対 英明 1-0
決勝 対 小豆島 2-1
県予選では準優勝でした。決勝進出した両チームはは四国大会へ出場することができます。小豆島が優勝したことにも驚きですね。次に、四国大会の戦績をみていきたいと思います。
2015年秋四国大会
1回戦 対 池田(徳島県) 6-3
2回戦 対 今治西(愛媛県)9-7
準決勝 対 済美(愛媛県)6-5
決勝 対 明徳義塾(高知県)6-1
県予選では準優勝でしたが、四国大会では見事優勝をしています。並み居る強豪を倒しての優勝ですので、その実力は本物です。そして名神宮大会への切符を手に入れます。
2015年明治神宮大会
高松商は2回戦からの登場となりました。
2回戦 対 札幌第一 7-2 打線14安打 被安打6
準決勝 対 大阪桐蔭 7-6 打線12安打 被安打12
決勝 対 敦賀気比 8-5 打線13安打 被安打7
ここでも並み居る強豪校を破って優勝を飾りました。決勝戦以外は先制点を奪っており、最初に自分たちのペースを作り、多田、浦、美濃の投手陣の継投で守り切ります。エースの浦は140キロを超えるストレートを中心に組み立てる本格派です。
打線は全ての試合で2桁安打を記録しており、破壊力抜群です。また長打力もあり、神宮大会では6番植田理、7番大熊が本塁打を打っており、下位打線まで気の抜けない打線となっています。
また小技も多く、犠打が多いのもチームの特徴です(3試合で11個)。
高松商の強さ
1996年以来甲子園から遠ざかっていましたが、なぜ今年大躍進を遂げることができたのでしょか?そのルーツを探っていきたいと思います。
キーマンとなるのは、長尾健司(45歳)監督です。
長尾監督は2014年4月から監督に就任しています。丸亀高校、順天堂大学で内野手としてプレーし、その後、中学校の教諭となり、人事交流により高松商へ赴任することになりました。
高松商への異動はとても驚いたと答えられており、公立校ならではの突然の異動だったのだと思います。
公立中学校の教諭として21年間教鞭をとっており、付属坂出中学を全国大会へ出場させるなど、野球部を強くするその手腕の評価は非常に高いものがありました。
その指導法は非常にユニークで、トランポリン上でピッチング練習をしたり、また、練習時間はたったの45分程度しかなかったのですが、明徳義塾中学をはじめとして強豪校と練習試合をたくさん積んで、実践で力をつけさせていったそうです。
短い時間の中で、最大の効果を出す指導がされいてました。
長岡監督の指導方法に関する動画もありました。
指導方法としては怒鳴ったりはせず、選手の主体性を大事にし、よく考えさせると言っています。また選手の練習にはしっかりと目を配らせており、就任当初の話では、朝6時30分から朝練習に顔を出しているという記事もありました。監督自身が自分で野球マニアと称する程、野球が好きで、様々な練習方法を研究されているようです。
また高松商野球部で忘れてはならないのがOBの存在です。監督交代の時期に、OB会から屋内練習場が贈呈され、様々なバックアップの下、高松商の大躍進があったのだと思います。
公立校で屋内練習場ですから、これはすごいですね。ちなみに第1回選抜大会の覇者は高松商業ですから、OBが積み上げてきた歴史というのは、時には重圧にもなりますが、いざというときの力にもなるものですね。