
最近、引っ越した先にNHK受信料の集金屋がやってきました。正直、態度は………でした。
ちなみにNHK受信料の料金はだいたい1年で15000円といったところです。
NHK受信料とGoogleで検索すると、いかに支払わないか?また支払わないことの合理性が書かれている記事を多く見かけます。
確かにそうかも…と腑に落ちる部分も多く、これを読んでいると支払うことの方が馬鹿らしいとさえ思えてきます。論点は放送法に関する解釈について争う場面が多いのですが、しかし私は違う視点でNHKの受信料について考え、結果的に支払うことを決めました。
ここではその3つの理由について書いていきます。
1、NHKワールドの存在
私が海外生活を送っていたとき、このNHKワールドには大変助けられました。海外にいながらも日本のニュースや、年末に紅白歌合戦を見ると、何か日本人としてのアイデンティを感じることができました。
インターネットがあれば問題ないのでは?と思う方もいるかと思いますが、テレビで日本の情報を見れるというのは違った感覚があるものです。海外、特に途上国ではテレビが情報インフラの中心であり、またNHKワールドをみている外国人の方も結構いるのです。
外国人が日本の情報を知る手段としてNHKワールドを視聴しているということもあり、国際交流と言う点でも重要な役割を担っています。
ただこのNHKワールドも、最近は、反日報道と解釈されるような放送をしてしまったりとネガティブな印象が強くなってしまっているのも事実のようです。それでも、NHKワールドに助けられている海外在住の日本人や、日本を知る機会になっている外国人がたくさんいるのも、また事実です。
2、障がい者への配慮
障がい者に対して最も配慮している放送局を考えてみると、あらゆる面でNHKが他局を上回っています。特によく知られているのが、手話放送です。地上デジタル放送に移行してからは、どの番組も字幕放送で番組を視聴できるようになりましたので、手話放送など必要ないのでは?と思う方も多いかもしれません。
しかし、手話と言うのは聴覚障害者にとっては言葉なのです。字幕はあくまで文字で、手話は生きた言葉なのです。NHK以外で手話放送をしている番組はあまりありませんよね?実際に手話放送についてのデータがこちらにあります。
平成25年度の手話放送実績
総放送時間に占める手話放送時間の割合 NHK(総合) 0.2% NHK(教育) 2.5% 在京キー5局 0.1% 在阪準キー4局 0.1% 在名広域4局 0.1% 全国の系列ローカル局 0.1% 総務省 平成25年度の字幕放送等の実績から抜粋
いかがでしたか?NHK(教育)が2.5%に対して、他局は0.1%です。2.5%自体も決して多いとは言えませんが、他局と比較すると多いことが分かります。
また解説放送という放送を知っていますか?これは視覚障がい者に対して音声多重放送を使い、番組を解説するというものです。こちらのデータをご覧ください。
平成25年度の解説放送実績
総放送時間に占める解説放送時間の割合 NHK(総合) 8.9% NHK(教育) 12.0% 在京キー5局 2.0% 在阪準キー4局 2.0% 在名広域4局 1.7% 全国の系列ローカル局 1.6% 総務省 平成25年度の字幕放送等の実績から抜粋
いかがでしたか?他局と比較するとNHKの放送割合が倍以上であることが分かります。
ようするに、NHKは障がい者に対して作られている番組が多いということです。障がい者はたたでさえ情報にアクセスがしづらいものです。そのような状況の中で、NHKは重要な情報源になっています。もしもNHKがなくなると、TVから得られる情報が非常に減ることが分かります。
今後もNHK以外の放送局、で手話放送や解説放送が爆発的に普及することは考えづらいです。
3、社会的な問題を扱う福祉番組の多さ
NHKの番組は他局と比較しても福祉を取り扱うような番組が多いです。最近では毎週日曜日19時から放送されているバリバラという番組がありますが、この番組では障がい者を一般の方に知ってもらうということに加えて、障がい者のための情報番組と言う役割にもなっています。
福祉はテレビの中でもなかなかお金にはなりにくい(視聴率がとれない…)です。24時間テレビのようなチャリティ番組はありますが、NHK以外であまり福祉を扱うような番組を見ることはありません。
そもそも24時間テレビも、最近は商業的な匂いを匂わせる演出だったりして、出演する側の障がい者も渋ったりすることがあるようです。かつて乙武さんも出演を断っています(24時間テレビへの思いより)。こちらの記事は2012年のものですが、その中で、
24時間テレビは意義はあると思うが、障がい者に対する扱いが一面的なものに感じた。
と述べています。私の私見ですが、福祉系の番組に限って言えばNHKの番組は中立を保って番組が作られていることが多いように思います。作為的に感動的なものを求めるわけではなく、障がい者の現状や考えをありのままに伝えられていることが多いです。
ちなみに現在NHKで取り扱われている福祉関する番組は12個にのぼります(手話ニュース含め)。
社会的弱者を取り扱うような番組はお金になりづらいものですが、必ず必要な情報です。
終わりに
以上が私が受信料を支払うことを決めた3つの理由です。
今までのNHKの体質や汚職などの報道を見ると、支払わない方が増えていることも仕方ないとも思います。
そして今後NHKがどうなるかも分かりません。解体されるのかもしれません。
受信料について法的にどうだとかというのは、私には正直分かりません。
しかしそれでも、海外でNHKの恩恵を授かった経験、福祉系の仕事をしている関係上そういう配慮に敏感、という自分の経験からNHKに対して受信料を支払う価値があると思ったので、支払いを決めました。
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